こうして「ブログ」という形で試合の報告というのは、全ての事を思い出して、振り返って、総括するという事で、時としてその行為から逃げたいと思うこともある。この試合は正にそれ。ただ、夢を見ていた…。後半30分くらいまでは…。
列整理に向かうために6時過ぎに着いた浦和美園駅前は、初冬のピンと張り詰めた空気に包まれていた。まだ薄暗い道をスタジアムへと歩くと、ようやく明るくなってきた。年々短くなるゲート前の待機列に寂しさを感じつつ、ひたすら開門の時を待った。
ひょんな事から知り合った韓国の大田(テジョン)からイグノを見に来た大田シチズンのサポーター4人組がいて、ちょっとした日韓交流。カタコトの英語と、アルコールのチカラでなんだか異様に盛り上がった。磐田サポーターと過ごした時間が、日本でのよい思い出になってくれるといいなぁ。
ビジター側のセクションは更に狭くなっており、入口ひとつ、座席2ブロック分しかなかった。そんな状況下がかえって一体感を生み、通路、階段までびっちりのサポーターが本当にひとつになって熱い応援を繰り広げた。
完全に浦和ペースで試合は展開し、前半21分DFの穴を突かれて先制点を与えてしまった。その後前半の終わりにはいい感じで攻め込んで行くようになり、1点のビハインドで迎えたハーフタイムにもまだまだこれから!ここからいける!そんな気持ちで、さらに応援のテンションを上げて後半へ。10分、14分とジュビロサポーターの目の前で我らが前田遼一が連続得点!雄たけびを上げながら走ってくる前田のすがたに、胸が熱くなった。狂喜乱舞のゴール裏。まだいける、もっといける、これは内容、応援、対戦相手、会場、すべてを含めて自分の今年のベストゲームになるものと確信していた。この喜びと興奮をどうブログで伝えようかとさえ考えながら、更に声を出して跳ね続けていた。
そして歯車が狂い始めた。なぜここでこの歯車を取り替える必要があるんだ?と嘆いたところで、もうどうしようもなかった。取替えられた歯車がきっちりと噛み合い、さらなる作動を加速した浦和の前に、防戦の一方。追加点を上げるどころか追いつかれた。正直、その後はもう引き分けでも十分だと思うようにさえなった。しかしロスタイムに…。
恥ずかしながら悔しくて悔しくて、椅子に座って号泣していた。耳にはWE ARE REDS!のコールが波のように押し寄せていた。
挨拶に来る選手はきちんと迎えなきゃと立ち上がったものの、うつむき、怒り、悔やみ、呆然とする選手たちの姿は、瞬く間に霞んでいった。
1点多く取った方が勝者となりすべてを手に入れる。そんな単純な事を痛感した浦和戦だった。
Ken2