このスローガンが登場したのは9/20のマリノス戦@エコパだった。突然始まったこのプロジェクトには一瞬戸惑ったものの、勝つためにはみんながひとつにならなくていけないという誰しもが思っていた気持ちを、肩組みという言葉と行動で代弁してくれていた。もちろんネガティブな反応も多く耳にしたけれど、いつもと同じ事でまずはやってから文句言えと思った。
その頃、知り合いのサポーターの方から、肩組のバッジを作りたいとの事でカンパを募っているそうですが、ご協力頂きませんか?との連絡を頂いた。チカラになれるならとIWATA EASTのスタッフ数名がすぐに協力したいと表明。その方を通してバッジ製作のカンパを届けてもらった。その後完成したバッジは選手・スタッフにも行き渡り、ひとつの大きな輪へのステップとなっていった。
9/28の新潟戦、ヤマハスタジアムでの新潟戦の試合前に前出のサポーターの方から携帯に連絡が入った。スタッフ数名で呼ばれたところに行ってみると、肩組プロジェクトを進めている方に紹介していただいた。バッジ製作カンパの御礼と共に、その方の口からでた話に驚愕した。「11/8にエコパで開催される清水とのダービーで、肩組ンデ…の13文字を13枚の大きなゲーフラ(ゲートフラッグ。左右に棒を入れて掲げる旗。)にして掲出する計画があるのですが、IWATA EASTのみなさんで作っていただけませんか?」詳しく聞けば、180cm四方の布を13枚用意して、文字を描き入れ制作するとの事。果たして俺達にそんな事ができるのだろうか?と半信半疑だった。大変なのは間違いない。バスツアーの運営だけでも正直手一杯の昨今、やっぱりできませんでした〜すみませ〜んじゃ済まされない話だ。それでも嬉しい依頼だった。こんなチーム状況にある時に、いま俺達の目の前にできる事がある。そして春にスタートして少しずつその輪を広げてきたIWATA EASTも、温いツアーだなんだ言われてきたものの、ここまで認知されるまでになった事が単純に嬉しかった。これはもう断る事なんてできやしない、やってやろうじゃねぇか!(ってなっちゃうところがオヤジ世代なんだけど・笑)と引き受けた。スタッフ内でも不安視する声もあったけど、もうやるって言っちゃったもんね〜(笑)帰りのバスの車内でも、この企画が参加者に報告され、バスツアー運営で上がったプール金の一部をこのゲーフラ制作に使わせて頂く旨を説明した。また、ある意味最も大変な作業である13枚の巨大な布にミシンをかける行程をふたつ返事で引き受けてくれる方もみつかった。それぞれがチームへの想いを、作業を通して伝えたい気持ちで一杯だった。
10月に入り、制作は動き始めた。先ずは布の準備。どこが安いとかいう知識もなく、とにかくでかい布が必要だったので、東急ハンズに直行した。店員さんに何をしたいのか説明すると、190cm幅の晒があるとの事。それなら真ん中で縫い合わせる手間もなく、2mの幅に切ってもらい、10cmずつ棒が入る部分を折り返せば190x180cmのゲーフラになる!さっそく2mでカットしたものを13枚、計26m分くださいと注文。ところが10m分しか在庫がないと冷たい返答。ならば取り寄せてくれと発注して、薦められた黒い絵の具や筆と共に、5枚分の布を手に帰宅。第一陣の5枚の布は、10/5札幌戦のバスに積み込まれ、ミシン担当の方にお持ち帰り頂いた。
次なる問題はいかにして文字を大きくするかだった。字体原稿としては肩組A4チラシしかない。最初は簡単に拡大コピーを重ねて貼りあわせればなんとかなるべ〜と軽く考えていたのだが、計算したら最終的にA4の用紙が500枚くらい必要になり、あまりにも地球に優しくない。そこでA4サイズに一文字ずつトレースしたものを8x8の64マスの上にのせ、小学校の自由研究以来久々に買って来た模造紙4枚を使った20cmの正方形8x8マスの下敷きを作成して、そこに布を載せて、これまた小学校の家庭科以来久々に買ってきたチャコペン(はい、サックスブルーのやつです)を使って拡大していく方法を取る事にした。数日後、残り8枚分の布も入荷し、ミシン担当の方に渡しながら、すでに縫い終わった分を頂いてきた。ここで問題発生!ハンズでハサミでサクッと裁断してもらったら、切断線がえぐれていて、幅が足りないものがあるとの事。しかしミシン姐さんは機転を利かせて、別の布を足して仕上げてくれた。縫い上がった布を我が家で広げてチャコペンでの下書き開始…デカっ!うさぎ小屋の我が家では居間の幅いっぱいいっぱいだった。
いよいよ塗料を使ってのペイント。第一弾は10/19日曜日に決定。都内の我が家の駐車スペースを使っての作業。なんせ日差しがある時間帯に次々乾かしながら進めなくてはいけない作業なので、昼前に集合だ。しかし、前日は万博でのガンバ戦があって、ペイントに参加した仲間はほとんどが昨夜は遅くに大阪から戻ってきたために眠い眠い。それでも先ずは漢字からペイントスタート。開始早々案外塗料が必要な事が判明して、慌てて近所の文房具屋に行ったのだが、布用の塗料の在庫が少なく、その足で地下鉄で一駅の渋谷まで買いに行った。気づいたら渋谷の街を塗料で汚れても良いジャージにトレーナー姿で、なおかつサンダル履きという格好でペタペタ歩いている自分の姿に愕然とした。特筆すべきなのはこの作業に進んで参加してくれたひとりのサポーター仲間。彼女は1月に出産をひかえて、そのためにこの春から試合に応援しにいく事ができなくなってしまっていた。このプロジェクトの話をしたら、スタジアムに行って声を出して応援する事はできないけれど、この作業を手伝う事で選手にチカラを与えられるならぜひ参加させて欲しいと、大きいお腹で黙々と筆を動かしてくれていた。住宅地の真ん中の家で大の大人が数人でペイントしており、干してある布には「共」だの「進」だの見るからに怪しい黒く太い文字が。興味津々に眺めている子供の手を強く引いて足早に去っていくお母さんは、いったい何を思ったのであろう…。幸いな事にご近所の方々は、ここにジュビロサポーターのバカ夫婦が住んでいることを百も承知で、「あら!サッカーの応援の旗作っているのね〜」と温かく見守ってくれていた。7枚塗り終わったところで日没終了。
第2次ペイントは10/26日曜日。はい今度は豊田スタジアム日帰りバスツアーの翌日で、再び眠い(笑)。前回、乾かしている間に昼飯を食いに行き、自然とビール飲んでしまったらその後の線がまっすぐじゃなくなったという点を猛省して、この日は作業終了まで禁酒令が敷かれた。2度目の作業であり、尚且つ残りはカタカナなのでスピーディに進んだ。継ぎ足しをしてもらう1枚を残して完成して、晩飯がてら打ち上げ祝宴。
残った1枚をミシン姐さんから頂き、休みの日に最後に残った「ニ」を夫婦で塗り終わりすべて完成!やればできるものなんだなぁと改めて思った。新潟戦、札幌戦と連勝したときは良かったのだが、ガンバ戦、名古屋戦と結果を伴わなかった時は、肩組活動自体にも疑問や不満の声があがってきた。でもがんばって活動している人たちを見ていると、まずはやろうぜ!と思った。そしてこうして一端を担う活動をさせてもらい、「肩組ンデ…」というのはスタジアムで肩組むだけの事ではないんだなぁと痛感。こうやって仲間とチカラを合わせてゲーフラ作るのも、ひとりでも多くのサポーターをスタジアムへ送り込もうとバスツアーの企画・運営をする事も、肩組ンデ=ひとつになるって事だったんだなぁと、その本当の意味がわかった次第だ。考え方は人それぞれで、反感買う事もあるだろうけど、俺は大きな意味でも肩組ンデやっていく。多分参加した全員が同じ想いだったはずだし、実際制作には参加しなかったがありがたい事に制作費をカンパしてくれたツアー参加者もいて、涙が出そうだった。
完成した13枚のゲーフラは10/2の天皇杯vs栃木SC戦へ向かうバスに積みこまれた。そのうち1枚は磐田の方に渡され、これに合う棒を26本用意して頂くことになった。残り12枚はダービー当日に、万一渋滞などでバスが遅れると計画自体がオジャンになってしまうので、東京から始発電車でエコパに乗り込むサブコールリーダー君に託された。俺達の手を離れた事で、ひとつの大きな達成感があったが、達成感は清水に勝ってからだと気持ちを封印した。
そして迎えたダービー当日。我々の2台のバスは順調にエコパを目指した。途中、サブコールリーダー君から連絡が入り、せっかく26人の人手がゲーフラを掲げるのに必要なんだから、ゲーフラ制作に携わった人たちにその役の半数を引き受けて欲しいとの事。こんな光栄な話はない。ただスタッフだけでは人数が足りない。そこでバスツアー参加者の中で気持ちが熱そうな人を数人選んでお願いしてみたところ、みんな即答でOKしてくれた。
この後は清水戦のブログ記事を見ていただければ。重複しちゃうもんね。
ビジョンに映るゲーフラを見て、色んな想いが脳裏に浮かんだ。でもそれは勝ってから、残留決まってからにしよう。ただひとつ言いたいのは、このプロジェクトに参加させてもらった事をすごく誇りに思うという事。そしてこれは色んな形で関わったみんなのチカラだっていう事。この誇りを胸に「肩組ンデ共ニ進モウ最後マデ」!
Ken2